企業等の競争力の源泉となる「その企業等独自の魅力や強み(無形の資産)」をいいますが、具体的には、以下のものがあります。わかりやすいように3つに分けてご紹介していますが、3つすべてをまとめた概念が「知的資産」です。
経営理念、人材、技術力、品質のこだわり、商品・サービスのこだわり、ネットワークの強み、社員教育システム、仕入れの強み、販売チャネルの強み等
発明・考案・著作物・新品種その他の知的創作、ブランドや商号に蓄積された信用、営業秘密、ビジネスモデル等
産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、著作権、育成者権、半導体回路配置利用権等
以下のような経営の発展に役立つ効果・メリットが期待されます。
本来、知的資産経営報告書は企業の知的資産経営の成果を開示するものですから、その企業自ら作成することが望ましいといえます。
しかし、行政書士等の外部専門家が、作成支援者として関与したときには、以下のようなメリットがあります。
※KPI(Key Performance Indicators):主要な業績評価の指標
販売、財務、サービス、技術等のレベルを示すための指標
処理時間、稼働率、業務の効率、品質を客観的に表現する数値化された指標等
2012年4月1日施行の改正特許法によって、特許権、実用新案権、意匠権に係る通常実施権について、新たに当然対抗制度が導入されました。それ以前は、特許原簿等への通常実施権の登録が第三者対抗要件でしたが、当然対抗制度により通常実施権の登録をしなくても第三者に対抗できるようになりました。
イメージしやすいように、事例を挙げて説明します。2012年3月31日以前は、ある他人の特許権を実施したい人が、その実施の許諾を特許権者に求め、これを特許権者が承諾した場合は、特許権者(ライセンサー)と通常実施権者(ライセンシー)の間の契約が有効に成立し、合意した事項を正しく履行していれば、ライセンシーは、安心してその特許を実施できるはずでした。
そこでライセンシーは、特許庁への通常実施権の登録制度があることは知っていたが、通常実施権の許諾自体は契約により成立しているので、面倒だし費用もかかる登録をしなかった場合、特許権者が何らかの理由により、その特許権を第三者に譲渡してしまうと、新たな特許権者は、特許原簿に通常実施権の登録をしていないライセンシーに差止請求、損害賠償請求をすることができたのです。しかし、ライセンシーが通常実施権の登録をしていれば、新しい特許権者に対抗することができました。つまり、第三者対抗要件としての通常実施権登録制度が存在したのです。
しかし、改正特許法により2012年4月1日から、その登録が必要でなくなりました。通常実施権の登録をしなくても第三者に対抗できるようになったので、これを当然対抗制度と呼びます。ライセンシーの負担軽減につながる法改正でした。
なお、商標権の通常使用権には、当然対抗制度は適用されません。従来通り、商標登録原簿への通常使用権の登録が第三者対抗要件となります。
(参考)
通常実施権のライセンス契約においては、特許庁への通常使用権の登録申請について定める必要はなくなりましたが、登録制度がなくなったことにより新たな問題が指摘されています。
それは、第三者に特許権が譲渡されたときに、ライセンサーの地位も譲渡されるのかという点が法的に明確にされていないことです。具体的には、以下の3つに代表されるケースが考えられます。
ライセンス契約においては、上記のケースを参考にして、当事者間で具体的に検討して、契約書面において、明確に取り決めることが重要です。
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